「図書館×ゲーム」活動報告日誌

九州の図書館で、アナログ・デジタルゲームを中心とした様々な企画を行っている格闘系司書の活動を紹介しているブログです。

北欧図書館におけるゲームの活用について

以前、ゲスト講師をした大学で、教育関係にとても熱心な学生さんがいらっしゃいまして、その学生さんが北欧に短期留学をして図書館も回ると聞いたので【北欧での図書館におけるゲーム活用についての質問】を色々お願いしました。

 

面白くて興味深い話が沢山聞けたので、知見を共有する為に書いていきます。

 

【注意点】

・私(格闘系司書)がフワッと質問してしまってる部分がありますので、深く聞けていないときがあります。

・学生さんは、図書館やゲームの専門家ではありません。

・学生さんは優秀ですが、言葉の壁で向こうのスタッフに上手く伝わっていない可能性があります。

・私の(格闘系司書)の個人的な意見や、おそらく勘違いもあります。

(間違いに関しては連絡もらえましたら、ログを残したまま修正します)

・その他、引用した参考資料として『フィンランド公共図書館 躍進の秘密』(本)や、ツイッターで見つけた情報などもあります。

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中心的に聞いてもらったのは、国際図書館連盟が決める「Public Library of the year」に選ばれた、フィンランドにあるヘルシンキ・セントラル・ライブラリー・オーディ」図書館、通称「Oodi(オーディ)」です。

(世界一すげぇ図書館!って事だそうです)

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「Oodi(オーディー)」や、その他の北欧図書館でゲーム(アナログ&デジタル)が、どのように活用されているのか、また、どういった考えで置いているのか?などを個人的な意見もいれつつ紹介していきます。

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パンフレットも貰いました、嬉しい!

パンフにもVRやボードゲームが載っており、力を入れているというか、本と同じように普通に扱ってるという感じがします。

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(アプリで翻訳してます)

 

①【質問】

TRPG(テーブル・トークロールプレイング・ゲーム)は、置いてあるか?

また、図書館で企画などを行っているか?

 【答え】

私(格闘系)が、丁寧に説明していなかったので、TRPGその物が学生さんと向こうのスタッフに上手く伝わっておらず不明。

 

 【格闘系:所感】

しょっぱなから私がやらかしましたが、以前、ツイッターなどでTRPGのルールブックが置いてあるのを画像で確認しているので、置いてあるのは間違いないと思います。

アメリカの図書館では、地域交流や若者向けの企画、障害を持つ人たち向けの交流として行われていますので、北欧の図書館でも行われてるのか、気になりますね。

 

 

②【質問】

アナログ、デジタル問わず、ゲームの貸出はしているか?

 【答え】

どちらもしている。

貸出期間はCDなどと同じ。

パーツの紛失や破損はペナルティあり、ペナルティは弁償や貸出制限など臨機応変に。

 

【格闘系:所感】

ペナルティを臨機応変にするのは、すげぇわかります。日本も本の破損は状況で判断するので。

以前、関係者に聞いた話では、アメリカの図書館ではボードゲームデジタルゲームの紛失が多いとの事。

 フィンランドはどうなのかなと思ってたら『フィンランド公共図書館 躍進の秘密』のp218に「フィンランドは正直な人が多く~~、でも、そこには例外が存在した。(デジタル)ゲームのソフトウェアは盗難が頻発した事もあり、直接手渡す方式に変わっている』との記述あり。

 

なお、日本では現在1館(熊本おおづ図書館)がボードゲームの館外貸出をしていますが、そういった事で困った事はないそうです(破損はたまにあるそうですが)

また、私や他の方が図書館でおこなってるボードゲーム企画でも、殆ど聞いた事がありません。

 

 

③【質問】

全体からみたゲーム予算の比率は?

 【答え】

特にゲームを特別扱いしてないので、わからない。

 

【格闘系:所感】

聞いた感じだと、日本と違って資料の種類を特に気にして無いというか「本もゲームもCDも同じ図書館の資料で違いはないでしょ?」という感覚を強く感じます。

この感覚の違いは、色々な質問で感じました。

 

 

④【質問】

ゲームと本を繋ぐ特別な企画などをしているか?

 【答え】

本とゲームだけでなく色々やっている。

 

【格闘系:所感】

本とゲームに限らず、全ての資料(文化)を並列に考えており、その全ての資料(文化)が相互に繋がるような企画を積極的にしているようです。

ここでも、特にゲームが特別扱いさていないのを感じます。

なお、企画はインスタなどSNSも使って告知しているとのこと。

 

 

 

⑤【質問】

VRやボードゲームなどは、利用者が勝手に遊ぶのか?

説明用の専用のスタッフがいるか?

【答え】

専用のスタッフが5=7人いる(主にVRの接続がメイン)

ボードゲームは各家庭に浸透しており、とくに説明の必要がないので、専用スタッフはデジタルゲームがメイン。

 

【格闘系:所感】

やっぱ専門家がいるというか、細分化はされるなぁと感じました。

イカースペースなどもあるので、図書館の司書がデジタルゲームボードゲーム、VR機器、3Dプリンタ、ミシン、レーザーカッター、音楽スタジオ、最新のPCに詳しくて、その使い方を教えたり、企画を考えたりするなど、全てを出来るようになるのは不可能ですもんね。

(日本だと「公務員は全てを平均以上に出来るようにならないといけない」と言われるので厳しそうですが)

フィンランド公共図書館 躍進の秘密』によると、別の図書館の話で「新しいメディアやITスキルに関して職員にばらつきがある」事や(p206-p207)、「図書館業務に関わらない専用スタッフが増えている」(p119)という記述もあり。

 

 

⑥【質問】

ゲームの収集は博物館とバッティングしないのか?

【答え】

感覚的に博物館ではなく、図書館にあるのが自然という感じ。

学校にもボードゲームはあり、学びと繋がりがあるからでは(学生さんの感想)

 

【格闘系:所感】

日本でも同じような疑問をよく聞かれます。

私の答えとしては「ゲームは遊ぶ事で完結する文化なので、より活用できる図書館が収集・保存しましょう」です。

学生さんの話を聞いていて思うのが、向こうでは「ゲームが文化として浸透している」のを感じます。

家庭、学校、図書館などに自然に置いてあるので、こちらの疑問がそもそも理解されてない気がします。

 

⑦【質問】

なぜ図書館でゲームを扱うのか?

【答え】

市民が望んでいるから。ニーズがあるから。

ゲームも教材、当たり前の感覚。

遊びから学びへ自然と繋がる。

 

【格闘系:所感】

多くの質問の答えで、この「市民が望んでいるから」というのをよく聞きました。

「誰のための、何のための」図書館かというのが、市民にも浸透しているようです。

「市民が望んでいるからやる」というのが通るのは強いですね、もっとも図書館が市民生活に浸透しているからだと思いますが。

あくまで話を聞いた感覚ですが、活用がメインで収集や保存にはそこまで力を入れてないように感じました。

 

フィンランド公共図書館 躍進の秘密』では、以下の理由が書かれていました。

デジタルゲームの話しになりますが。

デジタルゲームは、図書や視聴覚資料と同様、図書館のサービス対象である。

・高額なデジタルゲームを購入することができない、経済的に余裕が無い子達が図書館で楽しめるように。

(p198)

 

 

⑧【質問】

ゲームを選ぶ基準は?

【答え】

市民に聞く、オーディーの前提が「市民のための、市民が作る図書館」なので。

市民側の意識も強い。

禁止ゲームは年齢制限があるやつのみ。

 

【格闘系:所感】

ここでも「市民が望んでいるから」は強いですね。

ちなみに年齢制限があるゲームですが、館内で遊ぶ時はどうするのかな?と思って聞いたら、ゲームはガラス張りの個室で遊べるようになっており、スイッチひとつで全面が曇りガラスになるそうです。

そういったゲームを遊ぶ時は、曇りガラス状態にするそうです。

 

全然関係ないのですが、将来的に日本の図書館でもデジタルゲームが活用され始めたときに、年齢制限のあるゲームをどう扱うのか議論が必要になってくると思いますので、その議論は面白そうだなぁと想像しています(笑)

 

 

【その他のネタ】

・公共貸与権制度はゲームにも適用されるのか?

フィンランド公共図書館 躍進の秘密』(p140)によると、図書館で貸出された本に対して、保証金が支払われているそうです(自国の言語の著作物だけ)

CDなども対象だそうですが、ボードゲームデジタルゲームも対象なんでしょうか、気になりますね。

 

デジタルゲームに対しては、図書館ごとにスタンスが違うが、ボードゲームは置いてある。

フィンランド公共図書館 躍進の秘密』の目次を読むと、「コンピューターゲームは置きません」(p182)と、「コンピューターゲームは図書館でと楽しもう!」(p197)という2つの図書館が紹介されています。

ですが、ボードゲームは置いてあるそうなので、やはり当たり前の文化として浸透しているのが面白いですね。

 

・オーディーでは、VRなど最新のゲームだけでなく、スーファミなど昔のゲームも楽しめる。

わざわざパンフに「レトロゲーム」と書いてあります。

 

 

また、ツイッタースーファミを遊ぶ動画を見つけました。

 

 https://twitter.com/librarian03/status/1221025151950544897?s=20

 

どうも実機ではなく、エミュレーターっぽいんですよね。

権利的に大丈夫なのか、この機械は何なんだ?など、色々と知りたいです(笑)

怪しい機械な気もしますが、もしかしたら昔の日本の旅館などにあったファミコンの機械と同じように、ちゃんと任天堂が作ったやつかもですね。

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というのも、北欧には任天堂唯一の海外支店(任天堂が直接経営していない)があるそうで、その成り立ちも含めて面白いので、特別にこういう機械があっても不思議じゃないなと感じています。

 

https://famicoms.net/blog-entry-3375.html

 

他にも、3Dプリンタやワーキングスペースの事なども色々聞きましたが、長くなるので今回は私の専門であるゲームだけにしました。

お話をしてくれた学生さんに感謝です!長時間ありがとうございました。

また、色々な繋がりでこういったお話が聞けたのも面白いなぁと思っています。

 

 【まとめ】

興味のある部分や、面白い部分を抜きだして書いていますが、聞いているとデメリットもありますし、当然ですが「すべてが素晴らしいので、真似すれば良い」ものではないように感じました。

市民の図書館やゲームに関する感覚も違いますしね。

まずは、うまく日本式に取り入れられそうな部分から真似してやっていきたいです。